平成27年6月24日(水) |固定リンク
「目の眼」9月号の撮影で相国寺、承天閣美術館へ。有馬頼底猊下個人所有の茶碗を、30年来のお付き合いだという女優の真野響子さんが拝見するという企画。夢中庵にはいると、驚くべき数の茶碗が並んでいて、真野さんが5椀選ぶのに四苦八苦。現在発売中の7月号、高麗茶碗に一文を寄せて下さった真野さんは、仕事の合間に大阪へ「まだ見ぬ茶碗」に会ってきたという。初心者の案内人というもくろみだったが、焼きものにあんなに詳しいとは!詳しくは8月1日発売号お楽しみに。 翌日は平等院鳳凰堂へ。一昨年の「平等院展」にお預かりした国宝の鐘楼に描かれた天女の拓本を、伊東屋さんとのタイアップにより完成し、奉納するためだった。鳳凰堂は朝から団体客が押し寄せ、見学も一時間半待ち。池にうかんだ平等院蓮が美しかった。 午後、彦根駅で、旧知の川井さんと、彦根商工会議所の小出さんと合流。佐々木道譽菩提寺である勝楽寺へ。バサラ大名の元祖道譽、僕のメールアドレスbasaraのモデル いつか彼を切り口の近江を考えてみたいなと思っているが、そんなきっかけになる出来事があった。住職のご好意で、京博に寄託中の佐々木道譽の肖像画が、五十数年ぶりに里帰りしたのだった。本堂に入ると、江戸時代に模写と並んだそれを僕はじっくり拝見、肖像画と言うより自画像なんだと僕には思える。この前これをここで見た方が、かの吉川英治さん、著作の道譽像が確かかと、肖像画をみるためだったという。時折、吉川さん旧蔵の紅志野だして盃を重ねるが、次回はちょっと違った気分になるはずだ。 続いて西明寺へ。すでに約束の時間過ぎていた。紅葉で知られた湖東三山は、新緑の頃もなかなかいい。続いて金剛輪寺、百済寺にも足を延ばしたが、京都の賑わいに比べ、訪れる人は少ない。近江の魅力はそうした鄙の、観光化されていないことでもあるが、多様な日本を知ってもらいたいと思う。参道のわきにあんな庭園があったこと、初めて知ったが、何よりは国宝の三重塔内陣壁画を、中野住職の特別な計らいで鍵があいたことだった。内部は意外と狭く、壁画に当たらないように細心の注意をはらいながらも、数々の戦火をのがれいまにつながれた文化財はやはり格別のもの。十二分に満たされて僕はますます近江にはまりそうだ。
平成27年6月1日(月) |固定リンク
「目の眼」7月号、本日発売です。今月号は伊藤郁太郎先生に「高麗青磁」を語っていただきました。「美の仕事」の連載は原研哉初登場です。石器について、手仕事について。お仕事の姿勢に通じるものがあります。地方の仏たちの連載も始まります。 平成27年6月1日(月) |固定リンク
念願の三仏寺 奥の院投げ入れ堂お参りを果たす。詳細は「目の眼」10月号に記したいと思うが、休日ということもあり多くのかたが山へ入っていた。建物の佇まいなど想像以上ではあったが、修験と登山との境や、蔵王権現の意味をもっと知らせたら良いと思う。「日本一危ない国宝」というフレーズ それはそれで、大事なのは、建物が国宝ということだけではなく、その精神性なんだと思う。「六根清浄」、結界でたすきを渡されはするが、大峯のような厳しさみたいなものはなく、ホラ貝の独特な音もない。山伏の姿までなることはないと思うが、「六根清浄」を唱えて、あがることがあってもいい。ただの登山とは違うからである。さらに残念だったのは、日本人オリジナルの仏像、というか神様である蔵王権現が鎮座している収蔵庫に立ち寄るかたは少ないことである。雨天で入山禁止の日は、閑散としているという。この秋、三井記念文庫にて初出陳となるご本尊は、他の諸像とは一線を画している。どうも有名ではない、知られていないものに対してあまりにも無関心のように思う。 鳥取県は知事をあげて「砂場はあるがスタバはない」ということで、県の宣伝活動に熱心だが、どうも流行だけを追っているようにみえる。なんとかという替え歌の映像を住職にすすめられたが、一側面あってもいいと思うけど、流され消えて行く、だけなんじゃないかと危惧する。千年つながれてきたものの存在感は、不易なもので、どちらも大事なことだと思う。どうも日本の地方は、中央信仰が過剰なんではないかと思う。宿泊した三朝温泉は、趣きある通りもあって、古き良き余韻を伝えていると思うが、何でああしたイルミネーションに予算をかけるのか僕は首をかしげる。その地にしかないもの、もっと目を向けたらどうなのであろうか。 戻ったその足で、今月から「美の仕事」連載開始した原研哉さんに誘われて南魚沼にある八海山酒造に行く。前の仕事のとき もう二十年前か、細川の代理でこの地にきたのだが、あまりの変化に驚いた。お酒の味は僕好み、さっぱりと邪魔にならず、いい感じで盃を重ねたが、観光地のような酒倉に、同じような地方の現状を憂慮する。これから大事なことは、何処にでもあるような、何処に居るのか感じられないような町づくりではなく、何十年何百年深化していく確かで手応えのあるものではないだろうか。しっかりとした考えで、ゆっくりでも積み上げていけば、ホンモノに気付く人は出てくると思う。目先のこと、目立って流れて終ること、そんなことにあまりに振る舞わされ過ぎているのではないかと思う。でも三仏寺の青葉と、八海山の山容に僕は元気を頂いて戻ってきた。
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