平成22年2月22日(月) 朝起きると腰が痛い。立ち上がると膝がへんだ。顔を洗うと額に痣のようなものがある。どうしたことだ?と考えるまでもなく、土曜日に畏友である西村が上京し、相変わらず大騒ぎした結果である。気付くと二人で倒れていた。最初にいたポストの中島さんと酒井さんの姿はなかった。かれらは学習するようだ。 今日は長谷川等伯のオープニングに顔を出し、NHKの田中さんから白洲展のお世話になる有賀東北大学名誉教授を紹介される。大きな名詞に品のある字体から人柄が想像できる。 等伯についての経験は皆無に近くほとんどが初めて観る作品だった。一回りして若い頃の宗教画にかれの礎があり、それが松林図にまで通じているように思う。好きな作品は少ないが、近衛信尹との合作は素晴らしい。筆は勿論、言葉がいい。月夜の松林図もなかなかである。国宝の松林図かしらなかったけど、一人の画家の一生をおえるいい展覧だと思う。会期が一ヶ月しかないからきっと混むだろうけど。 平成22年2月22日(月) 週刊ポストに、“白洲信哉 ニッポンの神仏 連載第8回 〜湖南に佇む古刹を訪ねる〜”が掲載されました。 平成22年2月17日(水) 三十年ぶりの 臼杵 ポストの大分取材は実りが多かったが、しばらく磨崖佛はたくさんだ。カメラマンの太田さんも、プリントしたらどこがどこかわからないかもしれないという。「デジタルは平気なんですか?」と聞いたら、撮った日付ばかりではなく、時間まで出るそうだ。ヤマダ電機によって撮った写真の保存する倉庫なるものを買ってもらう。ああいう店に行くと、店員に聞くのも嫌だし、でも自分では探せないし、ということで行ったことがないのだが、専門家がいると買い物が早くいろいろ買った。教えて貰ったけど、一人で保存できるかはわからない。日記のために撮っているので保存してもみることはないであろうが。 大分から戻り長野の大法寺、智識寺にとんぼ返りする。とっても感触がよく、他の交渉も大詰め 今日は京都に来た。三会場の学芸の方と、NHKの田中さんと松尾大社へ。明日は石馬寺や高山寺、明後日は法隆寺と再び湖北へ行く予定。ラストスパートといったところだ。多くのかたがたの理解がないとできないことだとつくづく思う。 やっと「土偶展」を見に行けた。長野茅野の仮面土偶、青森の斬新なデザインのもの、イノシシもいいし(いやこれは欲しい)壷に人が描かれてものもしばし見入る。逆に壷を持った土偶もいて、壷と人というのは長い長い歴史があるんだと思うし、これについては考えてみる価値があるように思った。 土偶を祭祀でつかったとこ、信仰の対象とか解説にあるが、絶対にそれだけではないと思う。宇宙への旅が現実になったと、その道の人たちは技術の高さを誇っているが、太古は明らかに宇宙と交信し、行くとか行かないとかいうことではなく、もっと密接につながっていたのだと思っている。勿論科学的な根拠はないけど、一つ一つの「土偶」をみていると、あの顔の形は現実にそうした人がいたんだという思いを強くした。はるかに想像に超えたことがあったのであろう。現代は進歩なんてしてないことを改めて認識した。 この展覧会は昨年秋に茂木さんとロンドンへ行った時(平成21年8月31日〜9月5日)に、ちょうど展示準備中だった。ロンドンでも十万近くの人が大英博物館に来観したそうだ。前年だったのは発掘現場の解説とか、資料的なものが多く、もっと「美として」見せたらとちょっと残念な気もした。僕も考古学をやっていたのでわからないわけではないが、他の追随を許さない彫刻として、見せる側に工夫が必要だろう。博物館というところにも「美の視点」をもっともっともってもらいたいと思う。 大野川流域 どこだったかな? 大分市内の 石窟 平成22年2月15日(月) 週刊ポストに、“白洲信哉 ニッポンの神仏 連載第7回 〜神の降り立つ「磐座」〜”が掲載されました。 平成22年2月11日(木) 紀元節 神像 久しぶりカメラマンの太田さんと酒井さんと会う。そして九州 大分にいく。天気は悪かったけど奈多八幡宮 神像群に神道美術の質の高さを感じる。それに環境がいい。整理して書きたいと思う。その後国東半島の仏を訪ね歩く。ここにきたのは三十年ぶり。中学生、つまり僕の長男と同じときの卒業旅行にこの辺りを巡った。地名とか覚えているところもあるが、記憶とはたいしたことではなく、そこの感じとか印象とか形容詞でしか、表現できない。でも、あの頃なんでこんなところに来たのであろう? 龍谷大学 というところから驚く報告がきた。入学試験に小学館から出た「白洲家の流儀」が試験問題として採用されたというものだった。問題を解いてみたけど、これがなかなか難しい。答えはわかるけど、これでもいいのではないかと思うものもあり、やりながら昔を思い出して止めた。旅も仕事もはたまた人生も、それを導き出す過程が面白いのであって、解答ありきというのは詰まらない。確かに正しいかもしれない。でも著者だって変わっていくのであって、これからのことはわからない。この冬最後の河豚はうまかった。 明日は臼杵をまわり、今日雨で残したところをまわって戻る。街並みは均一したけれど、文化と食は多様な日本である。皮と肝をまぶしたものがなかったのは残念であった。 奈多八幡宮 真木大堂 平成22年2月9日(火) 神内神社 再びAUDI Q7で今度は西へ。新宮神倉神社のお灯祭りに行く。多気の近長谷寺や大馬神社、神内神社など立ち寄ったが、名古屋の伊勢湾岸が通行止めで随分時間がかかる。夕方新宮へ着く。何度か上がり子になっているが、一度は眺めたいと思っていた。写真家の鈴木理策さんから紹介された寺本さんに、眺めのいい場所に案内して頂く。世界文化社のME連載中に担当編集者だった寺本さんのお兄さんだという。世の中本当に狭い。 祭りはあれをなんと表現するべきか、知らない人がみたら山火事だと思うだろう。神様は必ず降臨していると思うし、数ある日本の祭りでも一級のものだ。だが、火の中にいる臨場感、達成感、魂の清浄も味わえない。来年は今年仕事で参加できなかった渡辺さんや、茂木さんらとのぼりたいと思っている。 その晩は理策さんの自宅にお邪魔して飲む。新宮出身のかれは、熊野人を体で表現しているようだ。表現は写真にもなっているが、信頼し安心できる先輩である。しばらくたって輪島の赤木さんから連絡があり、今度はかれが参加している原田芳雄さんのグループと合流する。何年かぶりに芳雄さんとお話する。あのような魅力ある年のとりかたをしたいものである。 翌日は家庭画報の押鐘さんと野呂さんと別れ、「白洲展」のメンバーと合流する。滋賀の高梨さん、世田谷の石井さん、松山の長井さん、そしてNHKの田中さんと、速玉神社の上野宮司、濱中禰宜。那智大社の朝日宮司とお会いし思いを伝える。その甲斐があり、ちょっとすごいことになりそうである。那智の瀧を改めて感じる。都の人々が熊野詣に熱中した理由もわかる気がする。壮大なそれでいて繊細な、ときには龍に、ときには母に、十一面観音は山や瀧などと重なったのであろう。 そのあと青岸渡寺、道成寺をまわる彼らと別れ、僕は奈良へ。唐招提寺、そしてその隣の薬師寺へ。村上執事長、大変お世話になりました。夕方NHKの川良さんと合流して、春日大社へ。川良さんは現場主義の権化のような人で、祖母の本もすべて読破している。岡本権宮司にも初めてお会いした。春日はおん祭りだけでなく、もっともっと深く体験しなくてはならない。 これから向源寺に飛び込みで行こうと思っている。日本のもっとも美しい十一面観音の一つである。湖北は雪だろうが、旅の友がAUDIなので心強い! 神倉神社 お灯祭り 那智瀧 平成22年2月8日(月) 週刊ポストに、“白洲信哉 ニッポンの神仏 連載第6回 〜天智天皇の「古都」を歩く〜”が掲載されました。 平成22年2月5日(金) 朝青龍が引退した。本当に残念なことだと思う。会見のニュースをみていて涙が出てきた。横綱はまだ29歳の異国の若者なんだ。どうも日本の社会というのは、異物を許容することが難しいようだ。僕も最初は土俵でガッツポーズはどうかとも思ったけど、徐々に許せるような感じになってきた。彼には似合っているからだ。 日本社会はこうした異物が何人も続くと免疫が出来て、段々溶け込んでいくんだけど、若い力を伸ばす指導者というのもがいないだろうか。「品格」というけれど、それを言う評論家など、言っている側や裁く協会の側に「品格」があるように僕にはみえない。滑稽とはこういうことを言うんだろう。 横綱にお会いしたことがないけれど、正直な天真爛漫な人だと感じる。大リーグの選手は、練習は個々で勝負はグランドの上、というのが徹底している。横綱はそんな社会だったら、もっと力を発揮しただろうし、見本がいないのに「品格」が感じられない組織から、何を学んでやったらいいのか、非常に戸惑っただろうし、彼なりには悩んだんだろうと思う。 場所中だろうが巡業中だろうが、本場所の土俵の上で力を発揮するようベストを尽くす。という考えだったんではないだろうか。場所中に酒を飲み暴行したことは言語道断なことらしいのだが、結果優勝しているんである。「暴行」という言葉だけ先走りしていたんじゃないかな。僕も酒飲みだからよくわかるけど、酒飲みというものが理解されにくい社会なんだろうね。ドルゴルスレン・ダワドルジ様、本当にお疲れさまでした。 平成22年2月4日(木) 焼額山は 雲の上 今日は立春、暦の上では春だといいますね。愚息が試験休みだったので、志賀高原へスキーに行ってきた。 今回はAUDIジャパンの根岸さんの計らいで、スタットレス装着のQ7を借りることになる。流石にクワトロ、しかもオフロードタイプの車なので快適この上ない。大きい車体は都心ではもてあますが、高速に入り地方に出れば水を得た魚、高速安定性は抜群だし、スピード感が希薄なので注意してアクセルを踏まないとならない。大排気量のエンジンは、車体の重さを感じさせないのである。シートも適度に硬く、LED装着のヘッドライトは本当に見易い。当たり前だが荷物は余裕で入るし、スキーの板でさえ斜めにすればぴったり入った。二人では勿体ない。シートヒーターもよかった。 雪道でいろいろ試したが、安定性が損なうことはなく、ESPのスイッチを入れるような状況にもならない。感心したのはエンジンブレーキの効き方で、こんなに反応がいいと助かる。ハンドルに隠れてシフトの数字が見えないのが唯一の不満点、あとは満点な旅となる。有難うございました。 それにしても昨今のスキー場はどうなっているんだろう。空いているのはこちらにはありがたいんだが、運休のリフトも多く、まあそれくらいは我慢するけど、夕方ついてナイターで足慣らしを、と思ったけどなんと志賀高原でやっているところがない。これではますます客足も遠のいてしまうのではないだろうか。 天気予報は最悪だったのだが、山の天気はわからないもので、二日とも快晴。こんなことは滅多にない。お陰で十二分に満足した。ゴンドラで頂上へ行き、青空のなかを一気に滑る。ほんとうに気持ちがいい。天気が悪いとこの種の快感は味わえない。もうそろそろやめようかな、と思っていたけど来年も滑りたいと気持ちを新たにした。 根岸さんの要望で 愚息写す パノラマゲレンデ 平成22年2月1日(月) 週刊ポストに、“白洲信哉 ニッポンの神仏 連載第5回 〜叡山の源で「石」の声を聞く〜”が掲載されました。 平成22年2月1日(月) 家庭画報に「生誕100年に向けて:祈り−白洲正子が見た日本人の信仰〜第十二回」が掲載されました。 バックナンバー 平成30年
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