平成23年5月28日(土) オーストリア ヴィエナ近郊の農場にいる。ビオデイナミでワインをつくり、牛や鶏を飼い畑で野菜をつくる。中世の教会がある由緒あるところ。農家にとっては恵みの雨だが、やることがないので近くの原発、といっても炉心をいれる直前に国民投票が行われ廃炉(というのかわからんが)となった原発跡に行ってきた。福島と同じ型というように、まさに連日テレビでみた同じ型の建屋に煙突が立っている。ドナウ川の横に四十年もの間、壊されることなく見学ツアーもできるという。結果論だけど、なんだか我々日本人へなにかを訴えているように感じる。そして車から降りるとき、だれもいない工場内は本当に薄気味悪かった。そばには太陽光発電が国民の意思を示すかのように稼働し、現在発電されている数字が電光掲示板に記されていた。合理的というのか、隠したがる性質の国と西洋人とは民主主義の成熟度においてかなりの差がある。われわれは欧州型の成熟した社会を理想にしたらいい。永久に成長するなんて妄想だ。経済が発展しなくていいのか!そういう声と会話し、最後は国民の意思で決断するべきときのように思う。東電の責任だとか、海水がどうだとか、幼稚な争いはやめて、未来の姿を国会議員は議論するべきときだ。首相をかえることより、システムや生き方そのものを変えなければならない時期、デモもせず革命もおきない静かな国民は、異国では無関心で冷たいようにうつるという。その姿は、無機質な原子炉建屋に通じるものを思った。 平成23年5月16日(月) 白磁ナイトで 丸壺を抱える 雅陶堂三代目 「白洲展」の返却がはじまる。多いのときは四つの便に分担するのだから、計画をたてるのが大変だ。ほんと ご苦労様です。僕も全部は行けないので、電話したり手紙を書いたりする。岐阜の日吉神社 あの可憐な十一面観音の所蔵先だ。約束の時間にいくと、30名くらいの氏子のかたと、聞きつけた近所のかたが収蔵庫の前で待ち構えていた。高田宮司さんにまずは御礼申し上げる。ニコニコされてはいたが、複雑な心境だったと思う。「借りていてなにをいうか」と言われればかえす言葉も無いが、「もう貸しませんからね!」と釘をさされる。僕も「もうお願いしませんから有難うございました」と言うと、いつでもお参りにいらしてくださいね。とのお言葉にほっとした。 氏子総代の中村会長にも御礼を申し上げた。地元の文化財を広めたいとの気持ちと僕の思いが重なり、粘り強く説得して歩いてくださった。本当に有難うございました。 番組をみてから気になっていた岐阜の開化亭へ。古田シェフの人柄と冴えて澄んだ味に感服。鮎やイノシシも是非味わってみたい。名古屋にきたので三吉野くんに電話した。この前かれの行きつけに僕が行ったので「くるときは電話してくださいよ〜」と体に似合わず淋しそうな声をだす。中日の大島さんを呼び出して楽しい一晩だった。 これから「写楽」みにいこうか?今日中には奈良へ入っていないとならない。しばらくはお礼行脚の旅が続く。 平成23年5月9日(月) 煩悩の会 余韻の朝 昨日、企画した「白洲展」無事終了しました。世田谷美術館での開催前に地震があり、その後も余震が続き祈るような毎日でした。ただただお借りした神仏の無事をと思っておりましたが、おわってみればなんだか一抹の寂しさと安堵が交錯しています。今日から後片付け。まだまだ気が抜けませんが、専門家の出番、僕ができることは限られています。 滋賀、松山、そして東京都のべ十万人を超える人たちにご覧頂きました。図録の販売や有料入場者数の割合が多く、なんどか足を運んだかたもあったと思います。この連休中、朝一番で会場に行ったら、松尾寺の焼け仏のコーナーに一目さんにかけつけているかたがいました。きっと朝一でゆっくり拝みたいと思ったのでしょう。嬉しくなりました。 神と仏 自然への祈り。改めて古から続く神仏と自然との共生を見直すことが大事だと思っている。自然への祈りとともに本展でいいたかったのは、明治の廃仏毀釈によって引き裂かれた神仏のありかたと見直すこと。廃仏毀釈とともに修験道も禁止され、かの吉野ですから廃墟になった。国家の命令とは恐ろしいことです。その後の山の荒廃はその事実が少なからず影響している。自然から離れ鈍感になった文明人、自然との関わりを通して「人生如何に生きるべきか」を考えていかないとならない. 無論それが僕自身のテーマになる。 バックナンバー 平成30年
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